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旬と素材とお菓子のこと ーつくね芋編ー


良い和菓子を作る基本は、良い素材。


塩野では、新鮮な材料を使い切る量だけ仕入れ、こまめに仕込みをするため、工場内に「冷凍庫」がありません。


職人たちの手で、小豆や白小豆、手亡豆やささげ等の豆類、芋や栗、百合根、柚子など、1年を通じて様々な旬素材を自社加工します。

今回ご紹介するのは、つくね芋(佃芋)です。


まずはこちらをご覧下さい。


どーん。

迫力のサイズ感、伝わりますでしょうか。


保存性に優れるつくね芋は年間を通じて流通しますが、収穫期は10月下旬〜11月。

今年塩野に届いた新芋第1号は、両手に収まりきらないほど立派なものでした(上写真は比較的手の大きい女性が持っています)。


気まぐれな天候や自然環境下で、半年間 手塩にかけて育ててくださった生産者の方に改めて感謝の念を抱きつつ、さっそく加工処理に移ります。


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上品な上生菓子とはおよそほど遠い、無骨なフォルムのつくね芋ですが、一皮剥いて丁寧に“芽”を取り除くと、目の詰んだ真っ白な素肌が現れます。

ごく細かいおろし金を使い、芋の自重に任せるよう、力を入れず気長にやさしくすり下ろします。時に睡魔に襲われるほど長く単調な作業ですが、つくね芋から作られる「薯蕷饅頭」の身上は、白く細やかな肌目とふっくらとした皮の食感。ここできめ細かいすり芋に上げられるかが、お菓子の仕上がりを左右する重要なポイントです。艶良くふんわり蒸しあがった薯蕷饅頭の美姿に思いを馳せつつ、くるくるすりすり、もうひと頑張りします。


この後、すりおろした芋に砂糖を合わせ、饅頭生地のベースとなる「すり芋」を仕込みます。


薯蕷饅頭をつくる際には、この「すり芋」を再度すり混ぜてコシを程よく切り、米粉の中でも特に粒子が細かい「薯蕷粉」を揉み入れ、包餡して蒸しあげます。


和菓子屋の代名詞とも言える薯蕷饅頭ですが、膨張剤を使わず、芋の膨張力のみによって膨らませるため、芋のすり方、コシ切りの見極め、粉入れの量、中餡の煉り加減、蒸す際の蒸気の強さ等々、非常に繊細で按配の難しいお菓子のひとつです。


一般に、作業性や品質の安定性に優れた冷凍の加工すり芋やフリーズドライの大和芋を使われることも多いようですが、塩野ではこれらを一切使わず、あくまでも生の芋から仕込む薯蕷饅頭にこだわります。


自ら生芋を処理する過程で個々の芋のコシ(ねばり)や水分具合を掴み、饅頭の仕上がりをコントロールする職人仕事の矜持が支える薯蕷饅頭。

ぜひご賞味くださいませ。


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ご紹介したつくね芋は、「薯蕷饅頭」「柚子饅頭」に使用しております